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#レセプト業務

REZULTに収載されているレセプトのできるまで(診療報酬の請求業務、請求先などについて解説)

はじめに

REZULTデータの中心を担っているのは医療機関から発行される診療報酬の請求書であるレセプトデータです。そのレセプトを作成するのがレセプト業務ですが、レセプト業務は医療機関が診療報酬を適切に請求し、経営を支えるために欠かせない業務です。しかし、その仕組みや請求の流れは複雑で十分に理解していない方も多いのではないでしょうか?

本記事ではレセプト業務の基本的な仕組みから実際の請求フロー、そして提出期限までをわかりやすく解説します。

レセプト業務とは?

レセプト業務とは「レセプト(診療報酬明細書)」を作成、提出し、健康保険や国民健康保険などの保険者へ診療報酬を請求する一連の業務のこと。

具体的には、患者が受けた診療や治療に基づいて、保険者(健康保険組合や国民健康保険など)に対して7割以上の医療費を請求するための業務です。

レセプトによる診療報酬が支払われる仕組み

レセプトによって診療報酬が支払われる仕組みは医療機関、患者、保険者、審査支払機関の連携によって成り立っています。
この章ではそれぞれの役割と関与の流れをご説明します!

医療機関の役割

診療行為の提供と記録

医療機関は患者に診療や治療を提供し、その詳細内容を記録します。
この記録がのちにレセプト(診療報酬明細書)としてまとめられます。

レセプトの作成と提出

診療内容をもとにレセプトを作成し、診療行為に対する診療報酬点数を記載します。
レセプトは保険者に対して請求するための重要な書類です。

患者の役割

保険証の提示

患者は医療機関で診察を受ける際に健康保険証を提示します。
これにより、患者が加入している保険者(健康保険組合や国民健康保険など)が特定され、診療報酬の請求先が決まります。

自己負担分の支払い

診療報酬は患者の自己負担分と保険者が負担する部分に分かれます。
患者の年齢や収入によって異なりますが1~3割の自己負担分を医療機関に支払います。

審査支払機関の役割

レセプトの審査

審査支払機関とは、社会保険診療報酬支払基金と国民健康保険団体連合会の2つの機関のことで、どちらも国によって設立が定められた第三者機関です。
両機関とも各都道府県に47の事務局または支部が設置されています。

医療機関の作成したレセプトはこの審査支払機関に送られ、レセプトの内容を審査し、適正な請求かどうかを確認後、実際に支払いを行う保険者へと提供されます。

支払金額の決定

レセプトの確認後に最終的な診療報酬の支払金額が決定され、その結果をもとに保険者が医療機関に支払いを行うことになります。

保険者の役割(健康保険組合や国民健康保険など)

レセプトの受理と確認

保険者とは共済組合、健康保険組合、全国健康保険協会(協会けんぽ)、国民健康保険組合、都道府県後期高齢者医療広域連合などさまざまな組織を指します。

保険者概要
健康保険組合主に大企業のサラリーマンとその家族
共済組合公務員とその家族
協会けんぽ主に中小企業のサラリーマンとその家族
国民健康保険自営業者、非正規雇用者、年金生活者等
後期高齢者医療制度主に75歳以上の高齢者
厚生労働省「我が国の医療保険について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/iryouhoken01/index.html

これらの保険者が医療機関から提出されたレセプトを審査支払機関より受け取り、その内容を確認します。

診療報酬の支払い

保険者は確認したレセプトに基づき、医療機関に対して審査支払期間経由で診療報酬を支払います。
これにより、医療機関は診療に対する残りの7~9割の報酬を得ます。

レセプト請求の流れ

レセプト請求は医療機関が診療報酬を保険者に請求するための重要な業務です。

この章では請求の流れを簡単にご説明します。

レセプトの作成

医療機関ではレセプト(診療報酬明細書)のもとである診療情報をレセコン(レセプトコンピュータ)と呼ばれる専用コンピュータに入力します。

この入力作業により、各患者に関する1カ月間の診療内容(サービス内容)、診療報酬が記録されるレセプトが自動的に作成されます。

レセプトの点検

レセプトコンピュータから出力された傷病名と診療行為、処方薬との整合性などに誤りがないかレセプトの点検します。

誤りがあった場合は担当医師へ確認を取り、修正が必要であれば速やかに対応する必要があります。
またレセプトの内容によって、添付資料や意見書の提出が必要な場合があるので、それらの依頼もこのタイミングで行われます。

審査支払機関への提出

完成したレセプトを診療報酬請求書と合わせ審査支払機関に提出します。
審査支払機関では、提出されたレセプトを厳重にチェックしていき、万が一誤りや整合性がとれないものが見つかれば、不備があれば返戻処理や査定がなされます。

レセプトの返戻とは?

返戻とは、審査支払機関では内容が適切であるかどうかを判断できない場合に行われるものです。
レセプトそのものが差し戻されるため、医療機関は内容を精査・修正して再提出しなければなりません。

レセプトの査定とは?

査定とは、診療内容が「過剰」・「不必要」・「処方内容が適切でない」などと判断されてしまい、医療機関への支払額が減額されてしまうことです。

不備のあるレセプトが多いと査定や返戻の件数も多くなり、医療機関の減収に直結してしまうため、レセプト業務は慎重に行う必要があります。

レセプト請求の提出期限

レセプト業務の中で絶対に守らなければならないのが提出期限です。
この章ではレセプト請求の提出期限について解説します!

通常のレセプト請求期限

レセプトには翌月10日までに審査支払機関へ提出しなければならない決まりがあります。
そのため医療機関では月末から翌月10日の間にレセプト業務が集中します。

もし、諸事情で翌月10日までにレセプト請求ができなかった場合は「月遅れ分」として翌月に請求する必要があります。
レセプトが期限内に請求できなければ、診療報酬の支払いも後回しになってしまい、医療機関の利益回収に遅れをとってしまうことになります。

レセプト返戻後の再請求期限

医療機関が提出したレセプトが審査支払機関によって適正ではないと判断された場合は「レセプト返戻」としてレセプトが差し戻されることがあります。

たとえ差し戻されてしまっても内容の不備や間違いを確認し、修正することでレセプトの再請求を行うことができます。

再請求の最終期限は診療月の翌月1日を起算日とし、原則5年間とされています。
この期限はレセプト返戻の有無に関わらず適用されます。

まとめ

今回は、レセプト業務の基本的な仕組みから請求の流れ、提出期限までを解説しました。
レセプト業務は医療機関の健全な運営にとって非常に重要な役割を果たしています。

当社のREZUTデータで活用可能なレセプトデータはこのような流れを経て作成されています。患者さんの治療実態や投薬状況など様々な知見を得るための貴重なデータとなります。

この記事を書いた人

宿谷 久雄

スーパーバイザー

2002年、日本システム技術入社。様々な業界でデータを中心としたシステム開発に従事の後、2016年からデータ利活用の主管として活動。レセプトデータベースREZULTの企画・開発・運用や調査レポートの作成等、実務面を中心に割と何でも担当。

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